1970年物語−2
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1970年物語(season2)

01  菩提寺
02  Beginner's Luck
03  ミルキー・パトロール
04  サウンド・インパルス
05  この木何の木
06  ハッピー・フォーク
07  東 京
08  岸川さんのユウウツ
09  オニマ〜ルです。
10  唐津・虹の松原
11  リアカー部隊
12  カウントダウンライブ
13  小松ヶ丘を後にして1
14  小松ヶ丘を後にして2
15  城島高原キャンプ場
16  居候
17  再出発
18  渡辺プロダクション
19  解散.コンサート
20  風来坊
21  最後のマネージャー
22  照和出演バンド一覧-1
23  照和出演バンド一覧-2
24  照和出身ミュージシャン
25  照和のオーディション
26  シャイアン族が行く
27  俺はツヨシだ!
28  追い詰められるライブハウス
29  キヨさんに会ったらよろしく
30  泣き虫タツヤ
31  森山達也
32  ロック・ディの功罪
33  風の中のノバ
34  終焉の足音
35  1978年11月30日木曜日
<最終章>
01 1979年
02 伝説のはじまり
03 コンサート
04 同窓会コンサート
05 照和伝説同窓会コンサート1




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 第2回 Beginner‘s Luck


福岡市民会館から歩いて数分のところに福岡ボート、福岡競艇場がある。私は不思議とギャンブルに興味がない。かといってしないわけではない。一応、麻雀は出来るし、誘われればパチンコにも行く。しかし久保の様に開店前から並んでまでパチンコをしようとは思わなかった。
福岡市民会館の楽屋。「あかんべえ」の谷村ヨシオ、霜田賢が赤鉛筆をなめ、新聞を熱心に見ている。
「何しようと?」私は後ろから覗き込む。「今から競艇に行こうと思いよったい。本番まで1時間以上あるけん2〜3レースは出来るやね。」どこまでボート通いをしているのやら判らないけれど一端の通ぶる、あかんべえ。「暇つぶしタイ。妙安寺も一緒に行かん?」「競艇やら行ったことないもんね…」何事も経験である。あかんべえについて競艇場に出かけた。

1レースに6艇のボートが出走する。それぞれ色分けがしてある。多分、これは遠くから見る観客に判るようにだろう。単勝、連勝、連勝複式などなどビギナー用の遊び方を谷村が伝授する。最初のレースは見学。艇の選び方、券の買い方などなどを谷村について学ぶ。次のレースで試し買いをする。財布の中身と相談しながら細々と買う。私の予算は1000円。うちのメンバーはみんなその程度の余裕しかない。あかんべえのように「今日のギャラが入るし一丁いくか。」などと口が裂けても言えない、小心者のフォーク・バンドである。

それぞれのレースの間にチケットは販売され、出走数分前までという時間の制約がある。長い間考える暇はない。買う前に予備知識が必要である。そのためにスポーツ新聞と短い赤鉛筆は必需品である。試し買いは試し買いで終わった。ここで藤永がリタイア、「先に帰るけんね。」藤永もギャンブルに興味がない方である。一人で市民会館に戻っていった。
3レース目に残りの金を使った。連勝(一着二着を当てる)で3−6。裏を押さえて6−3。後一枚は適当に買った。

連勝の配当金が12,600円。大穴らしい。赤いボートと青いボートが入った。本命は緑のボートだったらしい。私はその赤と青を連勝で買っていた。配当金x200円で25,200円の大金が…バンザーイ、競艇に来て良かった。心ウキウキ、いそいそと配当金窓口に向かう。大穴だから並んでいる人は少ないが配当金が多いので受け取るのに時間がかかっているらしい。前のおじさんは特券(1000円)10枚を手に握り締めている。特券10枚、配当金X1000円で126万円…すご〜い。「久し振りに大穴ば当てたバイ。今夜は飲むバイ。」勝っても負けても、毎日飲んでそう…。
「ギャンブルはこれがあるけん、やめられんバイ」そんな大金が手に入るとコツコツ働くのが馬鹿らしくなるだろうな、と思いながら後ろを見ると特券5枚のおじさん。「しまったなぁ。全部これにしとけばよかったなぁ…」ぶつぶつと独り言。いかん、目があった。「兄ちゃんはいくら取ったね?」と、聞いてきた。私は黙って券を見せた。「連勝1枚ね?フン。」フンはなかろうもん!126万円の後に受け取った25,200円は非常に薄っぺらだっが私の財布には充分な重さであった。

私は考えた。これがあれば、しばらくバイトに行かなくて済む。なくなればまた競艇で…いかん、いかん。それじゃ126万円のおじさんになってしまう。「悪銭身につかず」「良いことの後には悪いことが起きる」。よしっ!このお金はなかったことにしよう。まず一緒に来たメンバーに1000円づつ配当金のお裾分け。「そんなもんは受け取れん」と突っ張る、あかんべえに「厄払いやけん」と言って、無理やり受け取ってもらった。意気揚々と楽屋に戻ってきた。…あっ、カツがいた。
大穴を当て、配当金を配った話を聞かせるとカツがぽつりと一言。「ぼくも配当金のお裾分けが欲しかぁ」…カツのこの素直さが私は好きだった。

あとがき

大穴を当てた後、みんなから癖になるぞと脅かされた。でも統計を取ったり自分で調べたりしたわけでなく、その場の雰囲気で3と6を買っただけだから嵌りようがない。まったくのビギナーズラックである。得てして初心者にはこういうことが起きるものである。これをギャンブルの才能があると勘違いする人間がギャンブルに嵌り、地獄をみるのである。
「あかんべえ」の谷村与志雄とは日本楽芸社でバイトが一緒になって親しくなっていたが、一緒のステージはほとんどなかった。この時のイベントくらいだったと思う。呼ばれて行ったステージだから気楽だった。リハーサルが終わると本番までは空き時間。その時にこういうことがあったというお話。ギャンブルと言うのは勝った時のことしか話さないという典型的な話である。

 いちろう 2008年3月24日





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