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1970年物語/第六話 by/門田一郎 「留年」 思えば大学4年になってバンドをはじめる奴はいない。もともと久保と二人で作った遊びのバンドのはずだった。それがメンバーが勝手に入ってきて真面目にバンドをはじめてしまった。その結果、ラジオや学園祭に呼ばれたりしてその気になってしまったし、いつのまにかクラブの中心(長老とも呼ばれた)的存在にもなっていた。 そんな馬鹿さ加減も手伝って、この一年ほとんど授業には出席していなかった。10科目のうち6科目を履修すれば良いという安直な考えと、卒業試験だから手心を加えてもらえるという安易な考えで、受ければ何とかなると思っていた。そしてもしもの場合を考えて親父には伏線をうっていた。 「父ちゃん、もしかすると留年するかもしれんばい。」 「留年ちゃ、何か?」 「ハレ…、落第のこったい。」 「やっぱぁ、お前には大学の勉強は無理やったばいなぁ…」 …そこまで言うことはないと思うのだが、自分の能力を知り、子供を過信しない偉大な親父であった。 「あと一年行くかも知れんばってん、良かね?」 「良かばってん、そんときゃ自分で学費は払えよ!」 「ム、ム、ム…」 試験の結果、3科目12単位が不足した。つまり3科目12単位しか履修できなかったのだ。うんにゃ!まだまだ、追試験という救いの道があるのだ。確か3科目12単位まで追試が可能なはずだった。追試験の手続きのために教務課に行った。 「君は今年の『学生便覧』を見ていないのかね?」 私は差し出された『学生便覧』のページに目をやった。 ありゃ、本年度より追試験の受験は2科目8単位に変更されていた。 万事休す!留学が決定した。 よっしゃ、こうなったらもう一年、バンドをやって楽しもう。 |
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